受賞コメント/第11回一般の部グランプリ

一般の部グランプリ/iMA


記録/記憶の碑/iMA

<コンセプト>

かつてビデオは、映像を記録し、見るための装置として、家庭や文化の中で「価値」を持っていました。しかし、DVDやオンライン配信の普及により、その役割は終わりを迎え、2025年問題とともに「無価値なゴミ」として扱われるようになりました。本作は、その終わりゆく記録媒体を単なる廃材ではなく、モニュメントとして「観る」対象へと転換したものです。

ビデオテープに漆喰と錆びた銀箔を施しました。長い時を経たかのような表情を作り出すことで、ビデオテープの重なりは単なる廃材の集合ではなく、時の重みと存在感を宿した昭和の遺物へと昇華させました。それは、古びた趣の中に宿る深みと落ち着いた美を表現しています。

こうして再構築されたビデオテープは、かつての記録や記憶を呼び起こし、時間の経過と価値の変化を示すモニュメントとなっています。