2020 受賞作品|一般の部|優秀賞
明日を紡ぐ
工藤 時生
<コンセプト>
僕の生まれた群馬県桐生市は奈良時代から織物の産地として知られている「繊維の街」である。近年では産業が衰退し、織物の工場は減り製糸工場ではたくさんの綺麗な糸な布が未使用のまま、劣化するなどして捨てられてしまっている。今回はその残糸や残布を用いて制作を行なった。
きめ細やかな糸と布は繊維業を営む実家での幼いころの記憶を想起させ、抽象的なフォルムは生活の中での人々の非言語的な関わりの形そのものを私たちに問いかける。
この作品を通して糸という産業廃棄物はアートにリサイクルされることで、歴史や地域の特徴を独自の表現やメッセージとして紡ぎ出す。そしてそれが出会いを生む一つの機会になることを望む。
<アピールポイント>
長さにして15kmになる糸を全て手で巻くことで織るとは別の造形的なアプローチをした。
居場所のないままだったその糸たちが不規則に何百、何千にも重なることで生み出される表情は深い奥行きと強度を感じさせ絵画的な空気感があるとともに、どこか刹那的でもある。
【使用素材】
●残糸
●残布
●段ボール
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