2015 受賞作品|一般の部|優秀賞
悽(せい)
佐々木 けいし
主な使用素材
鉄道レール
作品コンセプト
リサイクル品は過去と現在、未来を強く意識させる物質である。今回素材とした鉄道のレールは、日本の高度成長期を長く支えてきたシンボル的物質である。日々の人々の足となり、物質を支えてきたレールという物質が背負っている想いは、幾層にも重なっていることであろう。今、その役目を終えて、再び鋼材としてリサイクルされるのが現代的姿ではあるが、培ってきた歴史を忘れずに記憶にとどめておきたいと思い、今作品の素材として選んだ。その象徴的な形があえて残るように再構築した作品が「悽(せい)」である。
「悽屑(せいせつ)」と書いて「交通往来のわずらわしい様子」を意味する。まさに、鉄道が線路の上をわずらわしく頻繁に行き来している姿が想像できる。一方、「悽(せい)」には「やすむ、いこう」などの意味がある。あたかも忙しかった第一線を退き、静かに余生を暮らす姿を人間にも重ね、「悽(せい)」をタイトルとして選んだ。
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